今期初めて雲に邪魔されずに長時間撮像する事が出来、4種の画像(カラ−/近赤外/近紫外/メタンバンド)を取得出来ました。シーイングの方も全体的には良い部類でしたが安定しない時間帯もあり苦労しました。その結果1セット目のカラー画像はボツにしました。
今回の木星面は7月28日報告の経度領域の後方になり、大赤斑(GRS)が見える領域です。今回のベストショットは、3セット目のカラー画像と2セット目の近赤外画像です 以下に気が付いた点をコメントします。
・1セット目の近赤外画像の向かって左端側のSTBの領域に永続白斑BAを確認することが出来る。
・大赤斑(GRS)の前方に形成されているSTBは、ベルト(帯)と言うより暗斑の集合体の様な感じがする。
・7月1日の報告の際には発生していなかったが、GRSの前方のSEBの南組織からの気流がGRSの周りを回って前方に流れ出す「準循環流」が形成され「STrB」として成長しているのが確認出来る。但し、GRSの下方のSEBの南組織にRift(裂け目)がある様な気もするので今後の動向に注目していきたい。
・GRSの前方のSEBの南組織の上部にも暗斑状のものが盛り上がっているためこの付近一帯(狭い経度範囲ではあるがSTBとSTrBも含め)が非常に太いベルトを形成している感じになり、近年では見たことがない様相である。GRSの後方のSEBにはメタンバンド画像で明るく見える小白斑が複数確認出来る。
・7月28日のコメントでNEBの拡幅化について言及したが、GRSの前方領域は明らかにその兆候があることを確認出来る。数か所にループ状の凸部も存在している。1セット目の近赤外画像のループ状の凸部の右下に長命な白斑「WSZ」を確認出来る。メタンバンド画像ではこの白斑が明るく見え、高層領域に存在していることが判る。
・NTBはカラー画像では、細い紐状の南組織のみしか確認できないが、メタンバンド画像ではこの領域に明らかにベルト(帯)が存在していることが判る。この事は雲の高度自体が大きく変化した訳ではなく、その上部を厚みの薄い明るい雲で覆い隠す状態になっているのではないかと推察する。