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2022/10/26 UT の木星画像−2




 天候とシーイングに恵まれずなかなか木星画像の取得に至っていませんでしたが、約1ヶ月振りに何とか木星画像を取得する事が出来ました。
 撮像を始めようとしたPM7時過ぎにはGRS(大赤斑)が見えていましたが、今回もシーイングが安定せず待機時間が長くなってしまい、実際に撮像を開始出来たのは木星の南中直前のPM9時過ぎでした。
 その後もシーイングの変動に悩まされながら2時間半程撮像を続けましたが、再び大きくシーイングが悪化し始めたところで終了としました。
今期は忍耐と体力を試されている様なシーズンになっています。今回のベストショットは、1ショット目と2ショット目の「近赤外線画像」です。今回取得した画像と撮像中に気が付いた点を以下にコメントします。

・PM7時〜8時の時間帯はシーイングが良くなく画像として取得していないが、PCのモニターで時々瞬間的に見える映像から準循環流を形成しているGRS(大赤斑)後方の「hook」と呼ばれる鈎型状の気流は濃い模様として確認出来るが、これまではGRSの外周にそった形であったものが今回はGRSから少し離れ右側に少し尖った形状になっているのを確認した。今後の変化の兆しだろうか?

・1セット目の「カラ−画像」のSSTB領域の中央に見える高気圧性小白斑(AWO)は「A7」と呼ばれているもので、この小白斑を含む後方領域のSTBは約30度ほどの長さの濃く太い縞模様として確認出来る。

・2セット目の「カラ−画像」のSTB領域の中央に見える暗部は、[DS7」と呼ばれており、これまで無数に発生したジェットストリーム暗斑群の発生源になっているが、その下方で発達し続けている「準循環流STrB」とはその濃さの差から明確に識別出来る。尚、[DS7」の上側のSSTB領域の中央に見える高気圧性小白斑(AWO)は「A8」と呼ばれているものである。3セット目の「カラ−画像」のSTB領域の中央に見える大き目の白斑は「WS6」と呼ばれている。

・「準循環流STrB」の先端部は、1セット目の各画像の左端側にあるが、「カラ−画像」では判りにくい。しかし「近赤外線画像」では色のアルベド(反射能)の差から明確である。(赤味を帯びている方が明るく見えるので上側のSTBより濃く見える)

・これまで何度か今期のSEBの中央組織と北組織は活動が活発化している旨のコメントしたが、体系U120度付近から後方領域の約40度の範囲に明部が出現している。さらにその後方の体系U200度付近にも明部(前者より少し範囲は狭い)が出現している。(各カラ−画像参照) やはりこの領域は活動的のようだ。

・NEBの拡幅化は、今回観測出来た領域でも進行している様子が確認出来た。(北組織側へ広がるのループ状の雲が複数確認出来る)

・カラ−画像でのNTBは相変わらず淡く細い状態のままである。ただし「メタンバント画像」では、太い縞模様の存在が明確であることから基本的な雲の高度に変化がある訳ではなく、この雲の上に存在している「haze:霞」と呼ばれる赤茶色を帯びている密度の低い層の厚さが変化したのではないかと判断している。つまり通常は縞模様の上空には厚い層の「haze」が存在するのに、現在はこの層が薄くなっているのではないだろうか。現在、EZ(赤道帯)領域で発生している着色現象と逆の現象ではないかと考えている。

尚、前述したSEBの明部は、「メタンバント画像」でも明るく見えるので、「haze」層の厚さの変化ではなく、高度の高い上空に明るい雲が発生していると判断出来ると思う。

画像をクリック、再クリックするとフルサイズ画像になります。ブラウザの戻るボタンで戻れます。  (2022/10/29)

2022/10/26 UT の木星画像−2・・・・・・・・・・撮影/菅野清一 氏 (山形県上山市)




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