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2021 〜 2023 年の木星面展開図




 7月25日から8月2日までの4日分の取得画像を用いて木星の展開図を作成し、過去2シーズンに取得した展開図と比較してみました。
また木星面の特徴的な模様である「大赤斑GRS」、「永続白斑BA」、「北半球の長命な白斑であるWSZ」の3年間(2020年8月〜2021年7月/2021年8月〜2022年7月/2022年8月〜2023年7月)の経度方向(体系U)の移動量の変化も調べてみました。(各データは365日間の移動量として補正してあります)
移動量の測定には、位置測定ソフト「WinJUPOS」を使用しました。このソフトは複数の画像の撮像時間差を考慮したコンポジットを可能にした「Derotation処理」も出来るソフトです。

             「2020年8月〜2021年7月」  「2021年8月〜2022年7月」  「2022年8月〜2023年7月」

「GRS(後退模様)」         21.3°                 20.7°               17.7°
「BA (前進模様)」         205.9°                 213.8°              202.7°
「WSZ(前進模様)」                 100.8°               105.4°                88.7°

 このデータから木星の模様の移動速度は一定ではない事が判ります。特に「GRS」と「WSZ」の 「2022年8月〜2023年7月」の移動速度が以前に期間に比べて大きく減少している事が判ります。 その原因が何なのかは?です。
 次に近シーズンと過去2シーズンの展開図を比較してみます。

・木星のシンボル的模様である「GRS」は、近年縮小傾向にありますが、今シーズンのGRSは2021年のシーズンと比較すると小さくなっているのが判ります。

・「SEB」と「NEB」は、木星の2本の太い縞模様として有名ですが、今シーズンは共に過去2シーズンと比較し縞模様としての存在感が増しており活動的であることが判ります。

・「SEB」と「NEB」に挟まれた領域である赤道帯「EZ」は、2019年のシーズンに暗化(着色現象)が発生し、昨シーズンもその現象が下側の北組織側に残存していたが、シーズン終盤には軽減傾向にありました。(この暗化現象は、この領域の上空にある密度の低いHazeと呼ばれる霞状のものの厚さが増した為に発生したと考えられています。このHaze層は短い波長の光を吸収してしまうため、その層の厚さが増すと赤茶けた色に見えてしまいます) 今シーズンのこの領域は従来に近い明るさを取り戻している様で、Haze層は元の厚さに戻りつつあると考えています。

・今期の木星面は上部の南半球は活動的ですが、下部の北半球はNEB以外は不活発で特にNTBは全く確認出来ない状態が続いています。もしかしたら今期中に、この領域で攪乱現象が見られるかもしれないと密かに期待しています。

画像はフルサイズです。 (2023/08/30)

2021 〜2023 年の木星面展開図・・・・・・・・・・撮影/菅野清一 氏 (山形県上山市)



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